ZBrush USER INTERVIEW

まっせ

このインタビューについて

漫画用の3D素材を作成しているフリーランスの3DCGアーティスト「まっせ」様にZBrushの活用方法をお伺いできました。ぜひお楽しみください。

インタビューを受けていただきありがとうございます!

まず、始めに自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

まっせ:

こちらこそよろしくお願いします。Pixologic公式さんからお声がけいただいてびっくり&光栄です。
私のことはTwitterで知っていただいたのでしょうか?

はい、Twitterを拝見しております。 🙂

まっせ:

では簡単に自己紹介させていただきます。
グラフィック・デザイナーをしておりますが、今は主に漫画用3D素材・背景を制作しております。

漫画の素材制作はアシスタント業務などの経験からでしょうか?

どのようなきっかけでZBrushや3DCGを始めたのですか?

まっせ:

漫画アシも3D実務経験もまったくありません。

趣味のアナログ粘土で遊んでいた時、「デジタルでフィギュア作るソフトがあるらしい!?」って噂を聞いてZBrush 4R5を衝動買いしたのがZBrushとの出会いでした。その時は粘土で手や机が汚れなくていいやぐらいの軽いノリでした。

普段どのようなモデルの制作や、クライアントからの依頼があるのでしょうか?

お答えできる範囲で構いません。

まっせ:

主なクライアントは連載を持たれてるプロの漫画家さんです。
Clip Studio Assets販売サイトやTwitterにあげる作品が銃器や乗り物が多いのでそれ系の依頼が多いですが、ホントいろいろです。

「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」(講談社・月刊シリウス連載)モトエ恵介先生  ©FUNA・モトエ恵介・東西/講談社

モデル素材の販売/配布サイトなどを活用しているようですが、需要の多いモデルや、好まれるモデルなどはありますか?

まっせ:

漫画表現は無限なので何が好まれるのか正直わかりませんが、3D素材はいろんな角度で使えて再利用できるメリットがあり喜ばれているようです。

販売サイトには好きなものをモデリングしてアップしていく感じですが、ちょこちょこ売れてます。

まっせ様が漫画用途のモデルでZBrushを利用する理由はなんでしょうか?

まっせ:

ZModelerが搭載されたからです。ZModelerがなかったら多分他DCCツールを使っていたと思います。

漫画用のモデルを作成する際に意識する必要のあることはなんでしょうか?

まっせ:

最も大切なのは線画出力(LT変換)品質ですが、モチーフによっては線が曖昧になったりしてトライアンドエラーでいい線を探していくしかありません。
あとはデータの軽さでしょうか。Clip Studioに持っていっても動かないでは話になりませんから。

とはいえ私の場合はモールドなどもモデリングで処理しますから、どうしても重くなりがちです。それと「モデルを原寸で作る」ことはマストなのではないでしょうか。

例えば、ゲーム用途のモデルを作成する際に、ゲーム会社などはそれぞれのエッジが画面映えするように、角落としをしているということですが、そのような点は意識していますか?

まっせ:

3Dモデルを2値変換する場合、シャープな線が出ることが最優先です。ベベルはもちろんつけますが、遠景や小さいものだとつぶれてしまったりしますしケースバイケースといえます。Clip Studioの3D変換クオリティーが上がればもっと表現の幅が広がるとは思います。

ご自身の作成したモデルで、思い出深い作品などはありますか?

まっせ:

初めてZModelerで完成させたトゥクトゥク(三輪タクシー)です。
このトゥクトゥクを完成させたことでZModelerに自信がつきました。

過去に制作したハーレーや、ミニなどの作品について話していただくことは可能ですか?

まっせ:

ハーレーもMINIも他DCCツールで作り始め、どちらも途中からZModelerに持ってきて完成させました。やはりZModelerが手に馴染んでますから。この頃はなぜか頑なに「スカルプトは使わない」って自分に制約を強いていました。今はスカルプトで3DスケッチしてZRemesherやZSPhereでリトポしてZModelerで成形ってフローも使えるようになり、難しい形状も比較的作りやすくなりました。

ハーレー、MINIどちらも当時5年落ちのMacbook Pro 2013Lateでモデリングしています。最新機種じゃなくても割と動作軽めなのもZBrushのいい所ですね。

ZBrushについて思うことや、ZBrushを触る前と後で何か変わりましたか?

もしZBrushを知らない、今まで触ったことがないイラストレーターや漫画家さんにおすすめするとしたらどのような点でしょうか。

まっせ:

直感的にモデリングできるので触っていて楽いアーチストフレンドリーなToolだと思います。イラストレーターの方や漫画家さんはモノづくりのポテンシャルが高いので使い慣れればものすごい作品とか作っちゃいそうです。
あとはポリゴンとスカルプトをシームレスに行き来できるので柔らかいものから硬いものまで柔軟に対応できます。モデリングなら他DCCツールを併用せずにZBrushだけでほとんど完結できると思います。アップデートが過去20年間無料ってのもビックリです。

ZBrushのよく使う機能などはありますか?おすすめの機能などはありますか?

まっせ:

最近よく使うのはLiveBooleanです。なにを今更!感ありますけど。ZModelerだけで完結させようと頑張っていた頃はLiveBooleanをほとんど使っていませんでした。やはりハイポリのイメージでしたから。今はZRemesherが強力になったこともありよく使います。
ZSPhereによるリトポは使ってる人少ないと思いますが自分は好きです。オススメできるかと言えば「?」です。

ZBrushや彫刻について、どのように日々学習していますか?

参考にしている書籍や、アーティスト、サイトなどはありますか?

まっせ:

Pixologic公式を始めとしたYoutube、ArtStation、Pinterestなどを参考にしています。ZBrushLiveならShane Olsonさんが好きです。彼の運営する「3D Character Workshop」ではブラシやプロジェクトファイルなど配布しているので利用されてはいかがでしょうか。あとはNetflixです。車のレストアだったり中世のお城を紹介するプログラムがあって結構参考になります。中世の風俗を紹介した書籍なんかも好きで見ています。

Shane Olson 3D Character Workshop

好みのブラシはありますか?もしよろしければ好きなブラシTOP5を聞かせてください。

まっせ:

ZModelerブラシは除外するとして、

1.Moveブラシ
2.Topologyブラシ
3.Smoothブラシ
4.Slice Curveブラシ
5.(自作)IMMブラシ

ポリゴンモデリングでもスカルプトブラシが非常に役立つのと、モールドやビスなど使い回せるパーツはIMMブラシに登録して使うと便利です。

ZModelerを利用した作品が多いようですが、ハードサーフェスに関するコツなどをお聞かせください。

まっせ:

コツと言えるかわかりませんがマテリアルはBasic Material or Basic Material 2を使っています。MatCap系よりも歪みなどが発見しやすいです。ライトをいろんな角度であててみるのもいいです。

あとはとにかく資料を集めまくることでしょうか。資料があればなんとかなります!

将来的にこれは作りたいと思う作品やモデルはありますか?

まっせ:

中世の町並みです。UE4にもっていきレンダリングしてみたい。

使用している漫画用のソフトウエアはClipStudioだと思いますが、モデルの利用方法などはありますか?

まっせ:

セルシス公式でご覧いただけます。こちらを参考にしてください。

過去に作成したモデルを数点ご紹介いただくことは可能でしょうか?

まっせ:

馬車とライフルをご覧ください。Clip Studio Assetsで販売しています。

まっせ様が製作に影響を受けたアート作品・映画・音楽などはありますか?

まっせ:

Toy Storyです。ストーリーも何もかも好きです。1作目は少なくとも20回以上見てると思います。

お答えいただきありがとうございました。最後にご自身の宣伝などをどうぞ!

まっせ:

漫画用3D素材の制作は随時承っております。まずはTwitterのDMからお気軽にお問い合わせください。また素材販売もしておりますのでよかったらご利用ください。

今後はyoutubeでのまったり作業配信も予定しております。Twitterなどで告知させていただきますのでよかったら遊びに来てください。

Twitter
まっせ @3D_SozaiGate

Clip Studio Assets
まっせ漫画用3D素材販売サイト

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