ZBrush User Interview

FES株式会社

 

ターミネーター: ニュー・フェイト

このインタビューについて

日本で2019年11月8日に劇場で公開となったターミネーター : ニューフェイトの宣伝として、新宿駅地下にZBrushを利用したターミネーターの立体看板が展示され、その制作を行い、今回ZBrushCentralのTopRowを獲得したmazukaことFES株式会社の木村様に詳細を伺うことができました。

ZBrushCentral TopRowとは
ZBrush / ZBrushCoreのユーザーフォーラムであるZBrushCentralに投稿された作品の中からPixologicスタッフが選んだ、優秀作品が掲載される欄となっています。

インタビューを受けていただきありがとうございます!

まず初めに、ZBrushCentralのTopRowおめでとうございます!

FES 木村:

ありがとうございます。こんなにも素晴らしいソフトのTopRowをいただけて大変光栄に思っています。

読者の方に、少々、あなたとあなたの会社について話いただけますか?

FES 木村 :

美術造形物を制作する会社を経営しております木村と申します。我々の業界では”造形屋”という風に呼ばれており、アミューズメント施設や店舗の立体看板などから博物館の複製品に至るまで立体的なものであればどんなものでも実際の形にするお仕事です。この仕事に関わって23年ぐらいになります。

制作は昔からずっとデジタルでしょうか?
それとも、アナログからデジタルに移行したという形でしょうか?

FES 木村 :

造形制作を始めた頃は原型として粘土を使ったり発泡スチロールの塊を包丁や熱線で削り出し、サンドペーパーで仕上げ、FRP化して塗装していましたが、今から11年ぐらい前に転機がありデジタルに移行しました。3Dのデジタル化は主に海外のYoutubeなどの動画を見ての独学でしたので最初はもどかしく、なかなか大変でした。

*FRP : ガラス繊維で強化した樹脂の複合素材。組み合わせることで、軽くて強度の高い材料として利用できる。

今回の作品ついて詳しくお聞かせください!

FES 木村:

今回のプロジェクトの当初の案では同じクライアントから数年前に制作させていただいたデッドプールの様に、車載トラックの荷台に横たわった骸骨型の敵キャラの上半身が炎の中で這っているという依頼で、この柱巻きの立体ポスターについてはプラスアルファのイメージでした。 

過去のTopRow作品のデッドプール宣伝用の車載トラック

FES 木村:

ところがキャラクターデザインの詳細資料が足りず、クリエイティブ開発に限界があったため、トラック企画の方は見送りとなり、最終的にこの上半身立体柱巻きのみの実施に決まりました。実際の製作にかかったのは設置まで2か月を切っていました。

3Dモデリング → 原型3Dプリント出力 → 型製作 → ゴム+フォーム成型 → 塗装までの実工程と、時間との戦いでした。

設置する場所の関係上柔らかい製品を望まれており、制作方法や材料の選択など、そのちょうどよいところに落ち着くまでに時間が掛かりCG制作に時間を割けないという辛さがありました。

また、アメリカ本国から参考資料として約10インチのフィギュアが原型3Dプリント出力の直前まで届かず、ポスター制作用の静止画5枚でのCG制作が一番苦労したポイントでした。(側面から見た画像のないのが一番辛かったです。)

人体スケールのモデルを製作する上でどのようなことを考える必要がありましたか?

FES 木村:

通常の人体のバランスは守られていて尚且つこのキャラクターの性質の表現、また液体金属で柱からにゅるーっと出て来る状態を表現する必要がありました、そしてこの立体を見た人と視線が合い、般若や鬼に睨まれているような感じになってもらうことが一番大事な部分と想像できました。

そのために、このシリーズの特徴である赤く目が光っている表現をしたいとクライアントに提案し、取り入れることになったのですが、この部分の設計もなかなか手間取りました。まだ全体のモデリングも出来てないうちから目を中心に大型3Dプリンターで頭のテストプリントを重ね、どのようにLEDを仕込み、電池ボックスの位置をどこにするかなど、メンテナンスのことを踏まえて考える必要がありました。

 

スクリーンショットでは、人のサイズと比較をしている画像がありますが、どのような点を意識して検証、比較などを行いますか?

FES 木村:

今後はVRの技術なども取り込んでお客様から見た感じがもっとダイレクトにわかるようにクライアントに提案したいと考えているのですが、現在はRhinocerosという3Dソフト上で実際に設置した状態を想定して確認、提案しました。

画像はパソコンの画面の中だけなので実際の大きさの人物像などを並べて比較して確認してもらっています。モデリングしているときは自分自身も没頭してしまいスケール感がわからなくなるのでEPS(発泡スチロール)をCNC切削機で仮に切削したり3Dプリンターで現実の大きさに出力して雰囲気を何度も確認しています。

作品について、クライアント様、または一般の方からの反応はいかがでしたか?

FES 木村:

自分が考えていたよりも好反応で、何度もクライアント様の方からこんなツイッターが上がっていたよと教えていただき本当にうれしいものでした。もともとのデザインに関わられていた田島浩二さんからの好印象なツイート内容が聞けたときが「マジですか!めっちゃくちゃうれしいです!」という気持ちになりました。

過去に制作したデッドプールのスカルプトについてもお話いただけますか?

FES 木村:
この時も情報が少なく宣伝用のコスチュームはあるとのことでモデルさんに着てもらって3Dスキャンをして進めたのですが、コスチュームがゆるゆるで生地が薄く映画のものとはあまりにも違っていてほぼフルスクラッチでした。今回もそうでしたが、かなり徹夜しました。

デッドプールは足先までの長さが7mと大きかったのでディティールをしっかり作りこむ必要があり、上半身をCNCで切削し始めてる間に太ももや靴などの細かいモデリングをしていたと記憶しています。靴の裏に弊社のアイデアでデットプールとカタカナで入れさせてもらい、ちょっと遊び部分を加味させてもらった事もOKをいただき、こちらも好評でアメリカのZBrushCentralの方でもToprowをいただきました。

ZBrushについて思うことや、ZBrushを触る前と後で何か変わりましたか?

FES 木村:
最初はとっつきにくく、つらい状態の時もあったのですが、本当に今はないと生きていけない感じです。液タブを導入してからが本当に興奮しました。
会う人会う人に液タブとZBrushのすばらしさを力説してまわってました。

ZBrushのどの機能がお気に入りですか?
よく使う機能などはありますか?

FES 木村:
ダイナメッシュ、Zリメッシャー、 PolyGroupItをよく使うかなと思います。
GeomagicWrapというソフトのメッシュの穴埋めみたいにメッシュエッジのブリッジが任意に出来るようになると、もうほかのソフトは必要なくなると思います。

ZBrushや彫刻について、どのように日々学習していますか?
何か参考にしている書籍や、アーティスト、サイトなどはありますか?

FES 木村:
正直なところZBrushCentralのみです。世界中の人たちの作品を見て気に入った作品の画像を保存するというのを何年か続けています。
出来るだけ毎日訪れるように努力しています。

どのようなブラシがお好みでしょうか?
もしよろしければ好きなブラシTOP5を聞かせてください。

FES 木村:
これは榊さん無くしては語れません。
ベスト3は榊さんのSK_ClayFill、SK_TrimPolish、SK_Clothです。
後はDamStandard、Snakehook、Planar、MoveElasticブラシとなりますが榊さんの3種は格別です。

*フィギュア原型師の榊馨様のブラシはこちらから

お答えいただきありがとうございました。
何か公開したいTipsや技法などはありますか?

FES 木村:
すみません。正直なところ未だにZClassroomの動画等でTipsを見たりしているぐらいで・・・

将来的に作りたいと思うキャラクターはありますか?

FES 木村:
日本には“くまモン”や“ひこにゃん”のような、それぞれその地方の名物名産を表現、体現したご当地キャラクターが多数存在しています。それらのイラストから立体物を制作するお仕事を今まで多数させていただきました。世界の中から見た日本、という視点で”これぞ日本”というものを表現した独自のキャラクタ―を作りたいと思っています。

インタビューにお答えいただきありがとうございます!
自社PRなどありましたらご自由にどうぞ!

FES木村:

今回はこのような機会を作っていただきありがとうございました。

様々なクライアント様からの依頼は多種多様です。

20メートルを超える造形物を制作することに携わったりもしています。実際に形にするとCG上で見えなかった部分が見えてくることもありますし、外見からは見えない部分に時間を割かれることも多分にあります。

伝わりにくい苦労も多々ありますが、CGで作られたものが実際の大きさで目の前に現れると得も言われぬ感動があります。
現在当社ではZBrushの使い手を募集しています。我こそはと思うエネルギッシュな若者と一緒に大きな仕事がしたいと考えています。

 

Pixologicニュースレター

 ぜひ私たちの日本語のニュースレターに登録を行い、ZBrushとZBrushCoreに関するチュートリアルや、インタビュー、メイキング、イベントなどの情報を入手しましょう!